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*水に関わる仕事がしたい

高校生のときに通っていた塾の前にあった汚れた川をきれいにしたいと思い、水処理を学べる大学に進みました。
小学生のころから環境問題を身近に感じていて、中でも水は生活と密接に関わるライフラインなので興味がありました。大学では当時、環境汚染のメインと考えられていた工場の排水処理を研究していました。工場排水に含まれる亜鉛を取り除く方法を学んでいたのです。
大学院では方向を変えて遺伝子導入を学びましたが、やはり水に関わる仕事がしたいと弊社に入社しました。

*“超純水”の計測・分析方法を開発しています

弊社は産業用の水処理ビジネスに関わっており、主力となるのは「超純水」です。超純水とは金属、塩素、酸素などの不純物をほとんど含まない水のことで、半導体や液晶パネルを洗浄するために使われています。
水道水には50mプールにドラム缶数本分の不純物が含まれていますが、超純水には耳かき1杯程度しか不純物を含みません。私の仕事はこのごくわずかな不純物の量を正確に計測・分析する方法を開発すること。
今、半導体がどんどん小型化していて、配線の幅は髪の毛の1万分の1ほどの小さなスペースになっています。洗浄時、超純水にそのスペースより大きな金属粒子が含まれていると配線がショートしてしまう危険性があります。ですから、より不純物0%に近い超純水が求められています。
不純物の量が少なくなればなるほど計測が難しくなるので新たな方法が求められるのです。

*予想通りのデータが出てきたときはモチベーションUP!

日々の業務では計測する器具の材質やサンプルとなる超純水の温度など少しずつ条件を変えて計測していきベストな方法を探っていきます。
この研究はミクロの世界を相手にするので慎重さが求められますし地道な作業の連続ですが、予想通りのデータが出てきたときはモチベーションが上がります。
将来的には誰がしても同じデータをとれるような画期的な分析方法を確立したいです。
(文=十倉和美 写真=神谷美寛)