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Q:現在のお仕事の内容は?

私は青年海外協力隊員として、ケニア森林公社で仕事をしています。
森林公社は日本で言う林野庁のようなところで同僚は公務員になります。
そのため、普段はケニアの森林官(役人)とともに、森林管理の仕事を行っています。

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協力隊員は配属先の一スタッフとなりますが、
外国人としての視点や経験を活かして、
さまざまな提案を自発的に出したりすることもあります。
そのため私は、職場の保有する苗畑の労働者や
近くの森林ガイド、NGOなどの方々と現場に出る活動も行っています。
森林公社の役人はケニアの森林について膨大な知識を持っていて、
現場の作業については指示を出すものの、その後の状況についてあまり詳しくありません。
そんな中、現地の役人たちが、私の活動や話をきっかけに興味を持ち、
現場に足を運んでくれるようになったのはうれしいです。

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また最近、ケニアが国際協力機構(JICA)と共同で研究している
乾燥に強い樹木の苗木を育てることや、
ケニアの森林研究機関と連携を取りながらタケの栽培なども行っています。
理系としては、
研究された結果を地域に還元できることはうれしいですね。

Q:高校や大学で学んだことが、現在の仕事にどのように役立っていますか?

大学では、森林資源科学という学科に所属して、
森林の生態系や林業のシステムについて勉強していました。
でも高校や大学で学んできたことよりも、
これまでに培ってきた、ものの調べ方や勉強の仕方が役に立っています。
大学で学んできた森林の技術も国が違えば大きく異なってしまいます。
それでも、
「そんなときにどうやって調べればいいのか?
どうやって勉強すればいいのか?」
という問いに対する答えを自分の中に持っていれば、
知識を得る手段は無限にあるはずです。
また、大学の教授によく言われていた、
「教員や教科書は疑ってかかれ!」
「見て、聞いて、触って、確かめよう」
という言葉にはよく助けられています。
これまでに勉強してきた知識はあくまで机上の理論。
私は植物(生物)を扱う仕事をしているので、
必ずしも教科書通りにことが進むわけではありません。
現場では現場から教わる、現場の様子は自分自身で確かめてから
人に話すことを心がけるようにしています。

Q:笹原さんのように海外で働く上で必要なものとは?

私はケニアに来てから日本人だと言うと、
日本の戦争のことや東日本大震災、
内閣総理大臣(ケニアは大統領制なので)について聞かれます。
海外で働くと、その国の人たちからすると私が唯一の日本人。
日本について正しく理解してもらえるように日本について調べて、
それに対して自分の意見を持っておけるといいと思います。

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それから、特に途上国での仕事は、言語、文化、宗教……だけでなく、
「物資がない!」とか「停電! 断水!」のようなトラブルも多く、
仕事が一筋縄に行かないことが多いです。
でも、どんな状況も楽しめるような
タフな気持ちが大切だと思います。

Q:最後に理系を目指す女子高校生へのメッセージをお願いします。

私は数学が苦手だったので、
高校生のころは理系に進んだことを後悔したこともあります。
大学に入ってからも、理解できない問題にぶつかって何時間も悩んで、
教授のもとに何度も同じような質問をしに足を運んだこともあります。
もちろん今でも、活動が思うように進まなくて悩むこともあります。
それでも、今は自分が好きなことを精一杯できているので、
毎日が楽しくて仕方がありません。
私が高校生のころは、
何となく将来は自然に関わる仕事に就きたいと思っていましたが、
具体的な仕事をイメージできずにいたので、
勉強もただ辛いだけと感じてしまうことがありました。
大学に入って、多くの人と出会い、専門的な勉強を進めることを通じて、
自分の将来について
具体的に考えることができるようになり、
勉強も楽しくなってきました。
社会に出てしまうと、理系や文系ときっぱりと分けられない分野の仕事はとても多いですが、
どんな仕事に就いても
「自分の頭で考えることのできる理系女子は強い!」
と思います。
みなさんが世界のために、人のために、素敵な女性になることを期待しています。

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(文=川原田剛)