私たちが日ごろ口にするあらゆる料理は、さまざまな化学反応によって生まれています。調理とは科学であり、レシピとはある料理を再現するための“実験手順書”でもあるのです。

今回ご紹介する「理系すぎるお料理レシピ」は、「サクサクとろ〜りカニクリームコロッケ」。程よい柔らかさを保ったまま上手に焼き上げるには、ひき肉同士の結着や火加減を意識することが重要です。どこまでついてこられるかで、あなたの理系度も診断できるかも!?

 

サクサクとろ〜り、きれいな形の
カニクリームコロッケの再現方法とその考察

 

目的

おいしいカニクリームコロッケをきれいに作る。

 

方法

〈材料〉(12個分)

・カニの缶詰 160g

■衣
・卵 2個
・小麦粉
・パン粉

■ホワイトソース
・玉ねぎ 1個
・バター  60g
・小麦粉  90cc
・牛乳  500cc
・塩  小さじ1/3
・こしょう 少々(ひとつまみ)

・サラダ油
・油(揚げる用)

 

〈調理法〉
1. ホワイトソースを作る。フライパンにバターを熱し、みじん切りにした玉ねぎを焦がさないよう炒める(中火)。
2. 玉ねぎが透き通ったら小麦粉をまんべんなくふり入れ、さらに2分ほど炒め火を止める。
3. (2)に冷たい牛乳を注ぎ入れてなじませたら、木べらで混ぜながら中火で加熱する。
4. (3)が煮立ったら塩・こしょうを加えてさらに混ぜ、とろみがついてツヤが出るまで煮詰める。
5. (4)にほぐしたカニを汁ごと加えて混ぜ、再度煮立ったらサラダ油を薄く引いておいたバットに広げる。
6. 粗熱がとれたらラップをして冷蔵庫に入れて1時間ほど冷やす。
7. ゴムべらなどを使って線を入れるようにたねを12等分にする。1つずつ俵型に成形する。
8. 小麦粉、溶き卵、パン粉の順に衣をつける。
9. 揚げ油を180℃に熱し、衣をつけたたねを1個ずつ静かに入れる。油の温度が低下しないよう、3個ほどずつ揚げるのが望ましい。菜箸でときどき返しながらきつね色になるまで揚げる(1~2分が目安)。

 

 

 

 

結果

さくさくとろ〜りなカニクリームコロッケが完成した。

 

 

考察

カニクリームコロッケをは、成形するのが難しかったり揚げている間に破裂して形が崩れる失敗が多い。そこで気をつけたいのが以下の点である。

■たねの水分量
たねとなるホワイトソースがゆるいと成形しづらく、また揚げる際に水分が蒸発することによって破裂してしまう可能性が高まる。そのため、「具の玉ねぎはしっかりと炒めておく」「木べらで筋が描けるくらいのとろみがつくまで煮詰める」「最後にカニ缶の汁によって再びゆるくなった場合は、焦げ付かないよう注意しながら再度煮詰めておく」ことが重要だ。

■たねの温度
たねを成形する前に冷蔵庫で寝かせるのは、たねを冷やすことでホワイトソースに含まれるバターなどの油分が固まり、まとまりやすくなるためである。そのため、たねはしっかりと冷蔵庫で冷やしてから、成形から揚げる工程までをすばやく行うことが重要だ。

 

結論として、さくさくとろ〜り、きれいな形のカニクリームコロッケを再現するには

1. たねに含まれる余分な水分はしっかり飛ばしておく

2. たねは冷蔵庫で寝かせてから、成形から揚げるまでをすばやく済ませる

ことが重要である。

 


 

サクッとした歯ごたえをとろりとした食感がおいしい、カニクリームコロッケ。人気のお惣菜ですが、「形が崩れてしまう」といった失敗も多く、自分で作るという人は少ないかもしれません。でも、今回お伝えしたポイントをおさえれば、きれいな形のサクサクとろ〜りカニクリームコロッケを作ることができますよ。
理系・文系を問わずレシピに潜む科学現象を理解することは、料理上達への一歩。次回もお楽しみに!

※「理系すぎるお料理レシピ」はこれまで6回掲載しています。もっと極めたい方は以下のリンクからどうぞ!
「温泉たまご」 「茶碗蒸し」 「手作りマヨネーズのサラダ」 「スポンジケーキ」 「カルボナーラ」「ハンバーグ」

(本記事は「リケラボ」掲載分を編集し転載したものです。オリジナル記事はこちら

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