就職・転職活動をスタートする際「まずは“自己分析”が大事」とよく言われます。でも、自己分析とは、実際のところ何をどうすればいいのでしょうか?

この記事では、1人で、もしくは友達同士でできる、自己分析のワークをご紹介していきます。ぜひ、楽しみながらやってみてください♪

なぜ自己分析が必要なの?

自分が人生で何を重視しているのか、どんなふうに働きたいと思っているのかを理解しないままで就職活動をしてしまうと、どうなるでしょうか?

応募する企業や職種と自分がマッチしていなければ、どれだけ頑張ってたくさんの面接を受けても、内定を得ることは難しくなります。応募書類(ES)も面接も、企業に対して自分を売り込む場ですので、特徴やキャラクター、強み弱みが分かっていなければ、うまくプレゼンできませんよね。

もっと困るのは、入社してから自分とその会社のミスマッチに気づくことです。

近年は人手不足が続いており、複数の内定を得る学生さんも少なくないですが、人生における仕事の位置づけや、どのような働き方をしたいのか、どんなことにやりがいを感じるのか、を明確にしていないと、最適な就職先を選ぶことが難しくなります。

有名企業だからとか、人気の職種だから、といったイメージで就職先を決めてしまい、入社後に「こんなはずでは……」とならないためにも、仕事探しをする上では「自分の軸」をしっかりと持つことが必要です。

つまり、就活を成功させるためには、自分はどんな人間で、どんなことに向いているのか、できるだけ正確に理解する必要があります。これが就活における「自己分析」です。そのうえでしっかりと企業研究を行い、自分に合った企業や職種に応募すると、きっと納得のいく結果が得られることでしょう。

ポイントは、必ず人の意見も聞いてみること。

自分のことは自分ではわかっているようでも、意外と正確には理解できていないものです。また、就活を通じて自分を深堀りすることによって、新たな自分を発見できることもあります。ちょっと楽しみですね!

それではさっそく、就活の第一歩として、自分の価値観やキャラクターを見つめ直し、自分に合った理想の働き方をイメージしてみましょう!

自分の価値観を知ろう

まず、価値観とは「一人ひとりの物の考え方や判断の基準となるもの」です。「人間性」や「行動指針」とも言い換えることができます。価値観が明確であれば、周りの状況に振り回されたり、無駄に他者と自分を比較して、心が乱れることもありません。

仕事をするうえで、あなたはどんなことを大切にしたいと思いますか?

たとえば、こんな価値観があるでしょう。

どの価値観も正解で、間違っているものはありません。

でも、自分は「変化」や「冒険」を大切にしたいのに、選んだ仕事が毎日同じことを繰り返し、研ぎ澄ましていくような内容だったら……? それもすばらしい仕事なのですが、あなたが望む価値観とはズレがあるかもしれません。

自分が大切にしたい価値観を知ったうえで、そこにマッチする企業や職種を選んでいけば、納得感のある仕事人生が送れるはずです。

【ワーク1】価値観を知るカードワーク

上の表にあるような「価値観」を書いたカードを、言葉の分だけ用意します。

自分が好きな言葉、大切にしたい価値観が書いてあるカードを選んでいきましょう。

1.たくさん選んで、傾向を探る

好きなだけ選びます。もしくはあまり興味がない、魅力的に感じないカードを除外していってもかまいません。終了したら、手元にあるカードを眺めてみましょう。そこには、自分の考え方の傾向が見えてくるはず。友人や家族に見せて、コメントをもらうのも有効です。

2.消去法で、一番大切なものを見つける

まず、すべてのカードを「重要」「普通」「重要でない」に分類します。最後に「重要」のカードのなかから、一番大切な3つを選んでください。絞り込む作業によって、自分が一番大切に感じている価値観が明確になります。複数の内定を得てどの企業に入社しようか迷った際にも、活用できるワークです。

3.自分の価値観が明確になったら…

下記の質問に対する答えを自分なりに考えて、文章にしてみましょう。

・自分が、人生や仕事から本当に得たいものは何か?
・どのような人物になりたいか?
・幸せを感じるのはどんなときか?

面接官にも自然体で話せるようになるためには、文字に落として言語化することが非常に大切です。そして、仕事や人との関わりを通じて「なりたい自分」が見えてくれば、今後の人生の指針にもなります。

自分の「キャラクター」を知ろう

自分の考え方やこれまでの経験を振り返って、もっと深掘りしてみましょう。自分に合う会社や職種を選んだり、面接やディスカッションで、相手に伝わる効果的な自己紹介ができるようになります。また、就職後に職場での人間関係を築いていく際にも役立ちます。

そして、このワークでなによりも大切なこと……、それは、自分という人間をよく理解し、認めることです。そうすることで、ほかの考え方やバックグラウンドを持った人のことを受け入れられるようになります。

イノベーションはいろいろな専門分野、異なる文化、価値観が出会って融合した時に生まれます。自分をしっかり知ったうえで他者と協力しあえる能力は、企業が採用時に非常に重視している要素でもあります。

【ワーク2】「私は○○です」 自分にニックネームをつけてみよう!

いままで無意識に蓄積されていた、自分のイメージを洗い出すワークです。

1.自分が思う“自分”について、思いつくかぎりたくさん、書き出してみてください。

私は、日本人です。
私は、女性です。
私は、頑張り屋です。
私は、音楽が好きです。
私は、ヨーロッパに行ってみたいと思っています。

自分が思う「自分」が多いということは、たくさんの自分を知っているということ。キャリアカウンセリングの用語では、「自己概念が豊かである」と表現します。自己概念が豊かになると、いろいろな経験や出会いを受け入れられるようになり、多角的に物事をとらえることができるようになります。

2.書いたものを見て、自分を一言で表現するニックネームをつけてみましょう。

私は、○○○○な、(ご自分の名前)です!

こうしたニックネームを考えておけば、面接の自己紹介の場面で使うことができますよ。

【ワーク3】自分が知らない自分を知ろう!「ジョハリの窓(アレンジ)」

誰かとペアになって「自分から見た自分」と「相手から見た自分」を洗い出す、心理学のワークです。面接での自分の第一印象がどんなものかを考えるツールとしても使えます。

1.下記の要素から、自分の印象だと思うものを複数選び、書き出します。
2.相手の印象だと思う要素を同じく紙に書き、その人に渡します。
3.自分も相手も書いた番号をAに入れます。
4.相手が書いて、自分は書いていない番号をBに入れます。
5.自分が書いて、相手は書いていない番号をCに入れます。
6.どちらも書いていない番号を、Dに入れます。
7.結果を自分で分析し、話し合ってみましょう。

〈印象の要素〉
1.頭がよさそう 2.センスがよさそう 3.前向きそう 4.意志が強そう 5.前向きに物事を考えそう 6.情熱がありそう 7.行動力がありそう 8.社交性がありそう 9.信用できそう 10.人に慕われそう 11.優しそう 12.常識がありそう 13.プライドが高そう 14.落ち着きがありそう 15.真面目そう 16.明るい 17.クール 18.表情豊か 19.頑固そう 20.根性がありそう 21.細かそう 22.おおらかそう 23.話しやすそう 24.おとなしそう 25.リーダーシップがありそう などなど……。

一般的に「自分も相手も知っている窓」が大きい(たくさんの要素が入っている)ほど、対人関係がスムーズで人に好かれやすいと言われています。

「自分も相手も知っている窓」が大きくなるように、意識して過ごしてみましょう。周囲とのコミュニケーションがスムーズになり、就活にもいい影響があるはずです。

理系のためのQ&A

Q1. 先生の紹介で就職先が決まりそう。自己分析はもういらない気がしますが……?

A1.
理系の就活は文系と異なり、学校や教授の推薦で企業を受けることも多いですよね。ですが、推薦だからと言って必ず内定がもらえるわけではなく、きちんと自己分析ができていないと、面接でうまく話すことができません。それ以前に、その推薦された企業が本当に自分に合っているかどうかが、判断できません。

仮に首尾よく内定を得ることができても、推薦枠だと辞退がしにくいですので、しっかりと見極めて受けるためにも自己分析はとても大切な作業です。

それに、就職は長い職業人生の入り口でしかありません。配属が希望の部署ではなかったり、仕事で大きな失敗をしたり、すごく優秀な同期に勝てないと思ってしまったり……。長く働いているうちに、落ち込む場面は必ずやってきます。そんな壁にぶつかったとき、「自分をよく知っている」ということが武器になります。

自分の強みや周囲からの評価、自分がなぜこの仕事をしているのか。得意なことと好きなこと、そして苦手なこと。そういった「自分」のさまざまなピースを集めておけば、どんな悩みにも、論理的に解決方法を検討できるのです。

Q2. ジョハリの窓を試してみたら、自分が人に与える第一印象が思ったよりも大人しくて静かな感じでした。これから面接などでどんなふうに振る舞えばいいのかわかりません。

A2.
企業が評価するのは、明るくて元気な人ばかりではありません。落ち着いていて信頼感のあふれる人にも、価値や魅力を感じます。たとえば、営業職に向いている人の印象と、研究職に向いている人の印象が異なることは、想像しやすいはず。

無理に元気な人を演じて、不自然になってしまうくらいなら、落ち着いた安心できる人柄を最大限に表現していくのもひとつの方法です。

このワークで、人にどんな印象を与えたいのか、どんな自分になりたいのかが、より明確になったことと思います。人から自分がどう見えているのかが分かったこと、自分を客観的に理解できたことが、まずは大きな成果。印象アップのためのちょっとした工夫や、ふるまい・表情を練習してみましょう。憧れの芸能人や先輩のよい部分を取り入れてみるのも効果的。

大丈夫、日々少しずつでも続けていけば、「なりたい自分」に近づいていけますよ!

まとめ

一般的な評価がいいというイメージや憧れだけで仕事を選んでも、あなたが輝けるとは限りません。イキイキとやりがいをもって働くためには、自分の価値観に合った仕事に就くことがとても大切だと、リケラボは考えています。  

最近の学生さんは自分の課題を克服することに一生懸命な方がとても多いです。素晴らしいことなのですが、それだけでは就活はつらいものになってしまいます。大切なのは、自信を持つことと、なりたい自分に向って努力を続けることの両方をバランスよく意識することです。

今回紹介したワークを通じてみなさんが、「本来の(ありのままの)自分の良さ」を知って、自信を持って就活に臨んでいただけることを願っています。そのことが、就職後にイキイキと働くことにもつながります。頑張ってくださいね。

今後、このシリーズでは「企業研究」「面接」といったテーマを取り上げていきます。ご期待ください!
第2回はこちら

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参考文献:星野欣生著「人間関係作りトレーニング」
記事監修:人材育成コンサルタント クルール 池田泰美(いけだひろみ)
http://www.la-couleur.com

(本記事は「リケラボ」掲載分を編集し転載したものです。オリジナル記事はこちら

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