住友電気工業は社会インフラを支える電線や光ファイバーケーブルなど、さまざまな製品を開発しています。私は自動車内部の隅々に張り巡らされ、電力や信号、いろいろなパーツをつなげる電線システム「ワイヤーハーネス」の量産設計を担当しています。これは人間に例えると血管や神経にあたる大切な部分です。

今、自動車にはカーナビやスマホをつないだり、衝突防止機能のためのカメラを設置したりと、便利な機能が増えています。どれも電気で動かすので、多くのワイヤーハーネスが必要とされています。私の担当はドアと天井のルーフで、自動で開くサンルーフやパワーウィンドウを開閉するためのワイヤーハーネスを設計しています。

ワイヤーハーネスは何本もの電線を保護テープで巻き、ひとつにまとめたものです。製造の現場では人の手でテープを巻いたりと、手作業でつくられる部分が多い製品です。ですから、短い電線で効率的に、低コストでつなげられているだけの設計ではダメで、人の手でつくることができるという観点で設計しないといけません。

その分、必要以上に長い電線を使わないといけないことも多く、コストと作業性のバランスをとることが量産設計の難しいところです。いかにベストに近づけるか、次のモデルでさらなる改良が実現できるかが求められています。

化学科から化粧品や製薬ではない新しいことを目指して

高校のときの授業が面白くて化学にはまり、工業への応用化学ではなく純粋な化学を学べる理学部に進みました。無機化学を専攻し、金属イオンが入った溶液を混ぜて新しい物質をつくるような実験に明け暮れました。化学科出身女子の就職先は製薬会社や化粧品メーカーが多いのですが、仕事では新しいことに挑戦したいと思うようになりました。

その後、就職説明会で橋に使われている大型ケーブルについて知り、弊社のスケールの大きさに魅かれました。同時に材料系ではなく、みんなが手に取って使える最終製品に関わりたいとも感じるようになりました。そこで、住友電気工業なら化学以外のことも幅広くやらせてもらえそうだと思い、入社を決めたのです。

女性が少ない業界ですし、初めは電機系の知識もありませんでしたが、先輩のフォローもあり、ここまでやってこれました。実は長らく研究の現場にいて、10年先を見据えた新製品の開発に携わってきました。最近、今の部署に異動になり、より量産に近い設計に関わるようになりました。日々、進化していく自動車業界の動向をチェックしながら、目の前の商品をいかによくしていくかという新たな視点で仕事に打ち込んでいます。

【リケジョブ・オフショット】

車が好きで休日は主人と一緒にドライブに出かけます。写真は金沢に出かけたときのもの。主人がハンドルを握ることが多いですが、気分が乗れば運転を代わることも。今のマイカーは小さいので、次は大きくてカッコいい車が欲しいです。

(『Rikejo』2016年9月号より。情報は取材時のものです)