オープンキャンパスで質問攻め

コーセー研究所の製品研究室で「ヴィセ」や「エスクプリーク」などのメイクアップ商品、特にアイシャドウの処方開発をしています。

中学時代から美容に興味があり、高校の進路を決める中3のときに、そのまま高校に行こうか、美容系の専門学校に行こうかと迷いました。でも親や学校の先生に相談したところ、化学の先生から「美容関係が好きならば、大学に行って化粧品メーカーで働くのもありだよ」とアドバイスされ、「それだっ!」と思いましたね(笑)。

それからは一切ブレることなく、化粧品会社に就職するためにはどうしたらいいのか、という基準で進路を考えていきました。

「化粧品会社で働くためには化学系はやっておかなければならない」と思い、高校では迷わず理系を選択。大学を決めるときもオープンキャンパスに行って、「卒業生で化粧品会社に行った人はいますか?」と聞いてまわりました。

就職してみて、化学だけじゃないと知りました

最終的に上智大学で化学を学び、大学院まで研究を続けました。でも実際に会社に入ってみると、出身学部はさまざまです。化粧品の開発では、化学だけでなく生物や物理の知識が必要な場面もありますし、工場とのやり取りでは工学的な知識があればもっとうまくできる場面もあります。

研究所の仕事は、本社の商品企画で「こういうコンセプトのものをつくりたい」という話を受けて、サンプルをつくることから始まります。実際にできあがったサンプルを触りながら、企画の担当者と何度も擦り合わせ、目標の品質まで持っていきます。

その後、工場の方と量産化について検討するのですが、ビーカーの中でうまくいったものも、何キロ、何トンという大きなスケールでやってみると、うまく再現できないことが多々あります。そこで工場の方と一緒にどうやったらサンプルと同じような品質になるのか、という工夫を重ねていきます。そこまでが私たちの基本的な仕事になりますね。

今、夢だった化粧品会社で働くことができて、毎日が本当に楽しいです。もちろん大変なこともありますが、好きだからこそ求められていることを乗り越え、それ以上の成果を出そうと頑張れるのだと思います。

これからは当社も海外展開がどんどん進んでいくと思いますので、私も英語でスムーズにコミュニケーションできる能力と同時に海外でも通じるような品質、コーセー・クオリティ、ジャパン・クオリティをもっと磨いていきたいです。

自分の手がけた商品がニューヨークでもロンドンでもパリでもと、世界中で売られているようになったら最高ですね!

【リケジョブ・オフショット】

海外旅行が好きで、GWにはセブ島に行きました。写真はベトナムで訪れた香水店ですが、現地ではどんな化粧品やメイクアップが流行しているのかと、つい仕事目線になってしまうんです(笑)。

(取材・文=川原田剛 写真=神谷美寛 『Rikejo』2016年1月号より)