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リケジョからの質問

医学部と生物学

ninana
質問日:

2023.07.02

医療に関わるバイテクノロジーに関する研究・開発を将来行なっていきたいと考えているのですが、
医学部と生物学部どちらを希望するべきでしょうか?
遺伝子医療・治療や神経疾患などの神経系の技術などに現在興味があるのですが、これは医学部と生物学部どちらで学ぶべきでしょうか?
特に人間の遺伝や神経の仕組みに興味があるため、医学部でも生物学部でも学べることはあると思うので、何か参考にできるような違いなどがあったら教えていただきたいです。

先輩リケジョからの回答3 回答

MmM
回答日:

2023.07.16

>バイオテクノロジー
関連の技術は生物学科にも学べるところが多いですが、(テクノロジーはそもそも農学部や工学部、医療系なら薬学部。理学部系ならば真理探究を~すべての生物に関して~主目的とする。)そもそも、テクノロジーは学ぶ、研究・開発~と言うより、ほとんどの人にとっては、使うもの、ツール、手段。医学部の人も必要に応じて使ってます。
>医療・治療や神経疾患などの神経系の技術
>人間の遺伝や神経の仕組みに興味
となると、医学部に行けるならばその方がよいように考えます。人間の生理・病理について集中的に学べる学部・学科は医学部以外では、ないです。
医学系では特に神経内科であれば、神経疾患を専門的に究められ、知るだけではなく、さらに研究として今は疾患の原因に近いところからバイオテクノロジーなど(非常に広く多彩な技術)によって治療を目指すイメージです。これから数十年は(コロナワクチンでmRNA導入もアリになったしベクターなども)ツールが増えてめざましい進展も期待できそうです。
ツール開発としてなら、広く生物系や研究系の薬学部でそういうことを研究している研究室(あるかな、、、思いつかない)で優秀な成績をとって、製薬企業・ベンチャーなどで研究・実用化することもあり得そうです。ただ、疾患に日々ふれあって治療の種を見つけることができるのはやはり医師(であり、かつ研究者である人)かな、と考えます。新技術を開発して医師主導治験をしている、という例はよく見かけます https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/37/3/37_357/_article/-char/ja/  https://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/press/20230424.html 。ツールも大切ですが、結果として患者さんの笑顔に会うことまでできるのは報われて良いようにも思います。
頑張ってください。

アメリカで神経生物学の博士号を取った後、パーキンソン病と記憶のメカニズムを研究しています。かなり私自身経験がある質問なのでお答えします。

まず、私の経歴から言いますと医学部医学科中退後、理学部生物理学科に入り直し、博士課程は神経生理学でした。なので両方足を突っ込んだ上で生物の畑を選択していたことになります。友人は医師ですし、同僚はガッチガチの生物学者です。

そこで見てきて思ったのが「医学科はメカニズムを教えない」と言うことです。

簡単な例えで言いますと車のエンジニアと車の修理専門の方の違いです。車のエンジニアは塗装についてはさっぱりわからないでしょう。しかしエンジンについてはなぜ現在エンジンがあのような仕組みなのか、なぜ燃料はこのような混合物なのか、などの「なぜ」を知っていると思います。修理の方はそんなことは知らなくてもOKです。なぜ「壊れたのか」はわかる必要がありますが、「なぜそれをやると壊れるのか」は知らなくてもちゃんと修理できます。その代わり、塗装、ドア、冷却など様々なパーツについて知っているでしょう。

それと同じで私のような研究者は自分の専門外の分野は本当にさっぱりわかりません。私は脳については友人の医師よりはるかに知識がありますが、腎臓については医学部時代ちょろっとやったレベルしか覚えていません。(私はこれは興味がまったくなかったので点数はボロボロでした。。。)私の友人の医師は私より腎臓については知っていますが脳については私よりはるかに知識がありません。

また考え方も違います。友人は「これはどうやったら治るかしら」と考えるのに対し、私は「なぜこんな現象になってるのかしら」と考えることが多いです。なので理由を追いかける深さは私のほうが深いですし、すぐ行動に移す速さは友人のほうが早いです。

研究に進みたいのでしたら私だったら生物学部に進みます。結局神経も腎臓も「細胞」であるということは同じで研究していて「あー、ここちゃんとやっとけばよかったなー」と後になって振り返る時、私の場合医学部の授業ではなくて生物理学科時代の基礎的な生物の授業だからです。基礎的な生物の授業の知識のほうが色々役に立つことが多いので…神経や遺伝の仕組みだったら医学部よりも生物学科のほうが基礎をしっかり叩き込んでもらえるし、研究において基礎は本当に大事です。4年かけて細胞などのメカニズムをやる生物学科に対し、医学部はあれやこれやあれもこれもと4年未満で詰め込むので多岐にわたった知識になるのですが深さは専門より深くならないのです。そして研究においては知識の広さより、知識の深さのほうが遥かに役に立ちます。(実際、同僚に慶応の医学部を出た人がいるのですが「医学部の時の知識は本当に今使っていない」とこぼしていました。私のほうはと言うと大学時代の知識を今でも50から70%活用しています。)

勉強頑張ってね!

MmM
回答日:

2023.08.06

ガブリエルさんの投稿、興味深く読みました。医学科に入っても医師になるための試験や実習にかける時間が惜しくて退学したり試験を受けず無免許でいたりする(現在)研究者の方、結構いますよね。ninanaさん、技術の方に純粋に興味(と適性)があるならば医学部に行くための勉強や医学科での医師になる(試験の)ための広い勉強にかける時間はたしかに、もったいない、かもしれませんね。ただ、高校生のうちにはよく分かっていない(昔の私だけ?かも)こととしては、大学に入ってからは、教員は好きなことを教えてよい。(医学部・薬学部はまだ、高校の延長的なこれを教えなさい、みたいなコアカリ https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/116/toushin/mext_01280.html は、ある)。従って、入った大学の居た先生の、好みや知的関心があったところには、詳しくなれる。(よって、コアカリの範囲しか基礎を教えない医学部が大半だが、自分で教科書読んでねと基礎~生物学・(病態)生理~もがっつり教えてしまう(教科がある)医学部も生じる。理学部などだと、ラボの先生の専門の流れの研究をずっとやるなら「大学(院)での勉強が活かせる」、が、分野が、廃れるとかアカポス取れずに変わる、場合は学び直すことになる)そういうわけで、研究を志すなら覚えていてほしいことは、大学入学以降は自分で勉強する方が比重が大きくなること(と、私は思う。学部の時から、自学はもちろん、ここと思った研究室に出入りしていろいろ教えてもらうとか、仲間を募って教科書の輪読会をするとか。他学部他大の授業に潜って聴く人もいる)。そのうえで、もしも、日本でという志向性があって研究者を志すなら医学部(出身者)の方が一般的に研究費を稼ぐ方向性(医学部限定Grant数・仲間など)や(基礎系)ポジション(=研究者としての就職チャンス)が志望者との比率として多いということも知っているといいかもしれませんね。同じ(国公立医学部に入れるくらいの)能力の人が同じ努力を続けたとして、医学部と他学部ではおそらく前者の(特に基礎コースの)方が研究は、して生きやすい。+研究がむいてないなと思った時点で、(免許とっておけば)医業があるので生きていける。(結婚はクジのようなものなので、糧にするのは、、、。よく、女医は結婚できないと反対されるらしいけど、他の道に行けば解決・満足するものなのか、ナゾ。)ただ、患者を診ていない人は研究者と認めないとかいう医学系強硬派が居ること⇔研究医の大半が細胞生物学の正しいセンスを身につけているのか、などという問題は、確かにあります。ガブリエルさんのような生物系学科に行ったひとが病態がらみで大活躍して日本も変えてほしい、とも願っています。加えて、医学部の研究志向の人が、きちんと意識して生物学の足腰も、しっかり鍛えてほしい(&OR非医学系の人をリスペクトしてよい協力関係を)、とも。

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