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リケジョからの質問

進路について

秋歩
質問日:

2020.03.25

こんにちは。秋歩です。4月から高3になります。
私は遺伝子に興味があり、理学部の生物系に行って、遺伝子を用いて動物の生態や遺伝について研究し、将来的には研究者になりたいと思っています。
しかし、ネットなどで調べると、理学部生物系は就職できない、と書かれています。
生物系で研究者になるとすればどのような道がありますか?大学に残る以外でお願いします

(ちなみに親は医学部に行って遺伝子の研究をすればいいと言っています。)

先輩リケジョからの回答3 回答

理学部を出て生物系の院生です。医学部にいたこともあるので、お答えします。

まず、就職についてですが、理学部生物系の大卒は本当に就職がありません。これはいくつか理由がありますが、一番大きいのが日本は海外と就職の体系が違っているところがあります。海外だと、大学で身に着けたスキルをすぐそのまま使ってくれ、と言うのに対し、日本だと割とそうでもなかったりするので、開発に回してもらえません(大卒だと研究の基礎ができていないため、と私は聞きました)。また、遺伝治療なども日本はほかの国ほど医療改革が進んでいないため、その道の研究者がまだ要らない、と言うところもあります。(日本は遺伝治療が最初にアメリカで成功して5年後に北大で成功していますが、製薬会社が何かしているかと言うと…あまりしていないようです。)東大でこのような就職、進学になっています(http://www.bs.s.u-tokyo.ac.jp/biochem/for12/career.html)。アステラスの方とはお話する機会があったのですが、現在開発はほとんど大学の研究室に回っている、と言うことを仰っていた方もいました。製薬会社の基礎開発は確かにどこでも大学の研究室で行われています。(大手製薬会社のリストはこちらにあります:http://washizu.org/lab/job1.html。どうしても日本の会社が少ないなと思わざるを得ません。)

遺伝子を研究、と言っても色々あり、現在騒ぎになっているコロナウイルスのシーケンスを解析するのも遺伝子関係なら、人間の遺伝子からどのような病気になりやすいか、を読み解くのも遺伝学者ですが、基本的に現在そういうことを扱っている企業はほとんど海外です(例:Genentech)。なので、仕事のポストが多いからか海外に行くことを検討した方がいいと思います。日本でいい成績を取り、海外に出る方は多くいらっしゃいますし、海外出てから日本に帰ってくる方もいらっしゃいます。しかし現在生物の大卒で開発に就職…はちょっと難しいと思います。

さて、医学部に行くと言うオプションですが、医学部は基本的に治療目的で座学をやるので、やはり教え方が違います。例えば医学部で習った神経科学はもっぱら治療用だったのに対し、大学院で学んだ神経科学は治療に直接関係ない細かいことも沢山ありました。なので、それ専門の学部の方が、必要のないことをやらず、必要があることはみっちり学習、と言う意味では効率的です。(例えば私は首から上しか興味がないので、首から下についての学習は自分の目的においてはあまり効率的ではありませんでした。)後遺伝は本当にびっくりするほど統計を使う分野もありますが(例えば遺伝子解析して「癌になる確率」を割り出すのは統計です)、医学部はそこまで徹底して統計をやらないので、自分で学習することも多くなるかも知れません。

もしどうしても遺伝学者として企業で働きたいのなら私だったら生物を専攻し、大学院で海外に行くことを検討するでしょう。現在海外の方がバイオ系は就職があります。海外は遠いと感じるかも知れませんが、現に中国からは本当に沢山の留学生がいるわけですから、決して無理ではありません。
お礼日時:

2020.03.30

がぶりえるさん、詳しくありがとうございます。

まず、書き方が悪かったですが、私は大卒で研究者になりたいのではないです(当然修士、博士を取った方が有利だとは思うので)。ただ修士や博士をとっても研究者になるのは難しいと聞いたので、、

やはり海外ですか。以前学校行事でスタンフォード大学に行った時、スタンフォード大学の研究室で遺伝に関する研究をしている方のお話を聞いたことがあって、すごく楽しそうだとは感じていました。でも語学がすごく心配です。英語が苦手科目なので、、。
あと、海外に行って遺伝学者になるなら、どこの大学に行くのがオススメとかありますか?やはり東大とかの方がいいのでしょうか?


秋歩さんこんにちは、まりこです。

大学に残る以外で研究者となるとやはり企業就職になると思います。がぶりえるさんが留学や遺伝子研究、医学部について説明されているので、ここでは私の経験と私の知人から聞いた話や情報をご紹介しますね。

まず私ですが、秋歩さんの興味のある遺伝子に深く関わる企業に勤めています。私は日本で生命科学の学士をとったのち、アメリカで博士号(化学)をとりました。その後アメリカのイルミナ(illumina)という会社の研究開発部門で研究者をしています。イルミナは現在DNAシーケンシングでは世界トップシェアを誇る会社です。
アメリカでは博士を持っていなくても研究開発部門に就職することは可能です。現に私の所属する研究開発部門には最終学歴が学士・修士の方が沢山いらっしゃいます。ただ、博士号を持っていたほうが初任給が2-3倍高く、一般に「研究」と言われるような自分でアイディアを出し・リーダーとなって研究を進めるということができます。学士・修士持ちの方は博士を持つリーダーの指示に従って研究をすすめます。学士・修士持ちの方が博士持ちの方と同じポジションにつくには企業で長期間の経験を積まなければなりません。

私の知人が何人か日本の企業の研究開発部門にいますが、学士をとってすぐに就職した方もいますし、博士をとってから就職した人もいます。ですので一概に絶対に博士課程に進んだほうが良いという訳でもないかもしれませんが、秋歩さんのやりたいことを見る限り、修士や博士レベルの知識が必要なように思います。

企業で研究開発を希望する際に一つ重要なのは、どこに研究開発部門があるのかということです。日本企業であればおそらく日本に研究開発部門があるでしょうが、外資の場合は日本に研究開発部門がなく、日本にあるのはセールスやマーケティング部門だけということもありますので、日本でその会社に就職しても研究を行うことは出来ないでしょう。

沢山お伝えしたいことはありますが、文字数の制限もあるのでここまでにします。もし企業就職や大学院・留学に興味があれば私はYouTubeやブログで情報を発信しているので見てみてください。

https://www.youtube.com/channel/UCJoNQiQhN6EWXPc7MiBKQ6A
https://marikomatsuurajapan.blogspot.com/

お礼・コメントをいただきましたので、追記します。

大卒は無論、博士でも研究者になるのが難しいのは「日本は生物系の企業・開発のポストがないから」が大きな理由です。会社がないなら働くポストもありませんよね。化学だと元々日本は旭化成などがあり、それなりに力を入れていますが生物となるといきなり勢いが落ちています。医学部と合併するところが多いのもあると思いますが…(医師と研究者が違うのは、今回のコロナウイルスを見ていると痛感します。)

語学だったらTOEFLで90点ほど取れば後は何とかなります。私は現在大学で留学生を主に英語を教えていますが、皆さん英語は拙いです。でもちゃんと勉強できていますし、ちゃんとTAしていますし、ちゃんと暮らしています。今の大学はそのようなことは私のようなスタッフが対応するところもあるので、そこは心配しなくても大丈夫です(油断は禁物ですが…)。アメリカは今でも(!)研究費は世界一多い上、NIH(国立衛生研究所)と言うところが大量にお金をくれるので、そこはある程度安定しています。サンガーやハワード・ヒューズなど、生物・医学に特化した研究所もあるので、研究はしやすいです。博士課程は大学卒業からすぐ入学できるし、学費は免除になるし、生活費は出るので、そういう意味でも楽です(教授の下僕として使われますが…)。

大学名は関係ありません。先生にコネをつけてもらうなら別ですが、それだとその先生が持っているコネが使える大学にしか入れなくなるので...アメリカ国内から来る学生でも「こんな大学あるなんて知らなかった」と言う大学から来る学生さんは沢山いらっしゃるので、そこは心配しなくても大丈夫です。

もしまじめに海外へ出ることを検討するなら、基礎をしっかりやってくれる大学を探すのが一番大切です。実験テクニック云々ではなく、遺伝学の基礎、生化学の基礎、細胞生物学の基礎をしっかり叩き込んでくれるところがいいと思います。シラバスを公開している大学は結構あるので、そこで丁寧に探すのがいいと思います。(探し方はhttps://karenavi.com/faculty-selection-scienceが詳しく説明しています)。基礎がしっかりしていればそれだけ言葉がなくても理解しなければいけない量が減りますので、勉強が楽になります。後先生の研究室は本当によく見た方がいいです。遺伝と言っても工学のように書き換えるテクニックから、遺伝子がどう病気に繋がっていくか、人間とマウスのように遺伝学的に違う場合どうやってどこが近似しているかを割り出すか、など遺伝と言っても色々あります。自分が何が我慢できるか、で大学を決めるのも一つの手です(我慢できない研究をやらされると本当に全部嫌になってしまうので...)

一般的に言って、生物では遺伝専門でも私のように脳専門でも、細胞生物学は「避けられない道」ですが、世界的にスタンダードな教科書はアルバーツの「細胞の分子生物学」です(日本語訳が出ています)。その教科書を使っている大学を探すのも手です(確か名古屋が使っています)。また、細胞生物学はもっとも面倒くさい生物の基礎の一つですので、私がもし貴女の立場でしたら、その教科の内容をしっかりやってくれそうな大学を目指すかも知れません。(名古屋は授業を公開していますので一度ご覧になるといいかも知れません。http://ocw.nagoya-u.jp/index.php?lang=ja&mode=c&id=396&page_type=syllabus でシラバスが見られます。)

尚、MITも同様の授業を公開しています(OpenCourseware)。それを見るのもいいでしょう。

海外を目指すのでしたらこれから四年間、ほかの学生さんよりやることは増えますが受験を突破することに比べたら猛ダッシュしなくて済むのでそこはちょっぴり楽になります。こつこつ、毎日の積み重ねが決め手になります。

頑張ってね!

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