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本誌25号で掲載した「Rikejo製作所のメンバー4人が世界で活躍する先輩リケジョに突撃インタビュー」。ハワイのすばる望遠鏡に勤務する天文学者の嘉数悠子さんへのインタビューは大いに盛り上がりましたが、残念ながら誌面が尽きてすべて掲載できなかったため、こちらで未公開部分を紹介します! 

 

嘉数さんプロフ

 
 
製作所メンバープロフ

<今回のインタビューに参加したRikejo製作所のメンバー4人>

 
Rikejo vol.25は「世界を舞台活動するリケジョブ」を特集していますが、そのなかでRikejo製作所のメンバー4人が、アメリカやヨーロッパで活躍してきた天文学者の嘉数悠子さんにお話を聞いています。嘉数さんは、vol.23「研究開発を通して社会に貢献するリケジョブ」特集や、「世界で羽ばたくリケジョ」としてweb (http://www.rikejo.jp/rikejob/article/3655.html)にも登場していただき、読者からも大きな反響がありました。
 
製作所メンバーが世界で活躍する先輩リケジョに突撃インタビュー Web版「海外でのリケジョライフの楽しさ、教えてください!」 vol.1は、こちら
 


大沼:アメリカにはいろんな大学があって、それぞれの大学で強い分野がたくさんあると思います。そういうときに、どうやって大学院を選ぶんですか?
 
大沼さん質問

 
嘉数:アメリカでも大学や大学院のランキングがありますが、それはあくまでも目安です。天文学と一口に言っても、観測もあるし、理論もあります。大学も専門によって強みが変わってきますので、「論文を書いている人がどこに所属しているのか?」というのを見るのが一番いいと思います。あとは「自分のやりたい研究がどこで一番されているのか?」と、大学の指導教官に聞いてみるのがいいと思いますよ。それでもわからないところがあれば、自分が気になっている先生に直接コンタクトをとってもいいんですよ。日本だとちょっと気後れしてしまいますが、アメリカだと偉い先生でも返信してくれることがあります。まずトライしてもみればいいと思いますよ。
 

 
田坂:日本では修士から博士に進むときに、「女の子なんだから……」というケースがよくあります。アメリカではそういうことはないんですか?
 

田坂さん質問

 
嘉数:日本の大学にいたとき、私もそういうことを言われたことがありましたね(笑)。でも日本ほどではないにせよ、アメリカでもそういう差別が今でもあることは事実ですが、そもそも私が通ったハワイ大学の大学院では修士、博士とわかれていないんです。最初から博士を取ることが前提で、大学院に2年間在学したら修士になりますが、あくまでも博士の中間地点なんです。もちろん修士号だけ取得して卒業する人もいますが、ほとんどの学生が博士課程まで進みます。
もうひとつ日本との大きな違いがあって、アメリカでは学生数が少ないんです。アメリカの理系大学院(博士課程)は基本的に授業料がタダです。TA(ティーチングアシスタント)やRA(リサーチアシスタント)をすることで、生活するのに十分な給料もいただけます。私のような外国人にも研究者としての教育を施してくれる、すごく太っ腹な制度です。でも大学側としては、生活費も出さないといけないので、そんなに10人、20人も学生をとれないようですね。
 

 
石田:嘉数さんはアメリカだけでなく、パリでも研究をしています。ヨーロッパはどういう生活を送っていたのですか?
 

石田さん質問

 
嘉数ハワイに6年間住んだあと、パリ宇宙物理学研究所に行きました。そのころ、私はまったくフランス語を喋れない状態でした。その当時のボスが「フランスでも研究所内は英語で会話しているので、フランス語は喋れなくても大丈夫だよ。それにパリはインターナショナルな街なので、フランス語ができなくても問題ないよ」と言っていたので、その言葉を信じてパリに行ったのですが……それは大間違いでしたね(笑)。でも何とかフランス語を勉強し、パリに到着して半年後には、現地の友人がフランス語で喋りかけてくれるようになりましたね。それからはフランス語オンリーの生活になってしまったのですが、それが逆によかったですね。フランス語ができると生活も楽しくなりましたし、充実した日々を送ることができました。
 

 
鈴田:今の中高生も理系と文系のどちらにするか悩んでいたり、大学生でも単純に興味だけで進んで、その分野でずっとやっていけるだろうかと不安に感じている人もいると思うんです。私もそうですが(笑)、物理学だと将来の仕事の選択肢が狭まってしまうのではないか……と考えてしまいます。
 

鈴田さん質問

 
嘉数:天文と物理というのは、実はコンピュータのプログラムが主なんですよ。私は、観測は年に3~4回ぐらいしかしていないんです。じゃあ、残りの時間は何をしているのかといえば、論文を書いたり、オフィスでひたすらプログラミングです。だからプログラマーにもなれるんです。実際、私の友人もソフトウェア会社でプログラマーをしている人もいますし、証券会社でアナリストをしている人もいます。アップルで働いていたり、海軍で働いている人もいます。アメリカでは、天文学の出身者はミリタリー系の仕事につきやすいと言われています。というのも、超新星を見つけるテクニックと、スパイ衛星を見つけるテクニックが一緒なんです(笑)。だから物理をやっておくと、つぶしはきくんです! 他の教科でも、きっと意外な仕事とつながりがあると思いますよ。
 

 
大沼:今日はとても楽しかったです。最後に読者のみんなにメッセージをお願いします!
嘉数:アメリカでも女性がまだまだ少ない理系分野ですが、プログラミングやITなどの技術はビッグデータのこの時代、ますます必要とされます。 また、理系職は比較的フレキシブルな職務体制であることが多いです。 私の同僚の中にはほぼ在宅勤務の人もいれば、昼過ぎにひょっこりやってくる人もいます。手に職があると産後の仕事復帰もしやすいですね。企業でも製品開発やサービスなど、女性ならではの視点がこれからますます重宝されると思います。みなさんもこれからがんばってください!
 

嘉数さん回答

 
 
text by Tsuyoshi Kawarada Photo by Yoshihiro Kamiya
文=川原田剛 写真=神谷美寛