2019年9月、山梨大学甲府キャンパスにて「日本微生物生態学会 第33回山梨大会」が開催されました。この大会の注目企画のひとつが、おそらく日本初の開催となる「微生物アートコンテスト」です。

はてさてどのような作品が集まったのか? 栄えある第1回コンテストの入賞作は? コンテストの様子をうかがいに、大会会場へ行ってきました!

盛りだくさん! 20作品の「微生物アート」

日本微生物生態学会は、生物学・農学・医学・工学など様々な分野で活躍する微生物の研究者により構成される学会で、1985年の創立。毎年秋に開催される大会は、2019年現在約1,000名を数える会員が全国から集い、討議と交流を深める貴重な機会となっています。

第33回となる2019年の大会の会場がここ、山梨大学の甲府キャンパスです。

山梨大甲府キャンパスに到着! JR甲府駅から歩いても約15分の好立地です。

キャンパス内の様々な会場で、微生物研究の最新成果に関するポスター発表や口頭発表、シンポジウムなど、4日間盛りだくさんのプログラムが行われています。

熱気あふれるポスター発表会場。

「微生物アートコンテスト」展示会場に到着すると、リケラボではおなじみの田中先生の姿が! 先生は未知の微生物研究の専門家にして、今回のアートコンテストの発起人のひとりです。

山梨大学の田中靖浩先生。「暑かったでしょう〜」と、優しく迎えてくださいました。

さて、注目の微生物アートコンテスト。本職の研究者の方から高校生まで、幅広い年齢層の方々に応募いただいた作品のなかから、会場に掲示されているのは実行委員による予備審査を通過した17点+審査対象外の特別参加作品3点の、合計20作品です。

全20作品の写真が一覧に。

展示スペースでは同時に入賞作品の審査も進行。審査は完全投票制。来場者と実行委員の先生方によって、大会期間中に投票が行われました。

作品はどれも個性があって目を引くものばかり。

絵画的表現の作品のほかにも、カビの生え方を立体的に捉えてその様子をありのままに作品化したもの、写真と組み合わせて表現したもの、培養するのがとても難しい菌を使った作品など、それぞれに独自の工夫とこだわりが込められていて見応えがあります!

第1回目にして力作ぞろいの「微生物アートコンテスト」。栄えある最優秀賞は、いったいどの作品が受賞したのでしょうか?

いよいよ受賞作品のご紹介です! 応募時に寄せられた作者コメントと合わせてご覧ください。

第1回微生物アートコンテスト受賞作品はこちら!

最優秀賞=リケラボ賞(対象1作品)
作品名:夕焼けな若狭富士
作者:岸上達哉さん(福井県立大学)

作者コメント
「高浜町最高峰の青葉山、別名若狭富士と夕日のコラボレーションを海から単離した酵母の白とピンクで表現しました。若狭湾の和田ビーチから見る夕日の、本家・富士山に負けない美しい山様と海岸線は私の最も好きな景色です」

夕焼けをバックにした若狭富士の、美しく迫力ある風景を表現した作品。複数の微生物で色分けをしているにもかかわらず、混じり合ってしまうこともほとんどなく美しく塗り分けられているところに技術の高さを感じます。

佳作(対象2作品)
作品名:昆虫
作者:野田悟子さん(山梨大学)

作者コメント
「大腸菌の青白コロニーでカミキリ虫を、Serratiaで蝶を描きました」

繊細な線で描かれた昆虫の作品。カミキリ虫の節や、蝶の模様のグラデーションなど、細かく表現されていてさすがです。

佳作(対象2作品)
作品名:一糸状菌がつくる妖精の森
作者:岡田元(理化学研究所)

作者コメント
「好冷性糸状菌(カビ)Mycosylva setosa(JCM 32119)ネズミ(?)の糞からポテトデキストロース培地を用いて2017年2月に分離した際に、ほぼ同心円状に形成した若い子実体(シンネマ)、シンネマの柄の上にできた亜休憩の頭部は鮮やかな黄緑色で、疎水性の無水の無性胞子(出芽型分生子)がつくられ、水滴(代謝水)をはじいている。1つのシンネマは1本の木のように見え、まるでシャーレの中にできた妖精が遊ぶ森のようである」

こちらは「絵」というよりも、菌の構造を立体的にとらえて培地の上に箱庭のような小さな世界を作りあげた作品。本当に、ポコポコと木が生えているように見えます。

審査員特別賞(対象1作品)
作品名:ハイビスカス
作者:田中さくら(山村国際高等学校)

作者コメント
「青色ブドウ球菌・大腸菌を使用。学校にハイビスカスの造花があったから描きました」

こちらは高校生の作品! しっかりとしたなめらかな線で、ダイナミックな構図のハイビスカスが描かれています。黄色ブドウ球菌で塗り分けられた黄色もしっかりとおしべとめしべを表現していて、アクセントにもなりました。

その他の優秀作品も一挙公開!

最後に田中先生からのコメントをご紹介。

「微生物アートは研究の息抜きとして楽しむことが多いものなので、世に出さずに素晴らしい作品を作っている研究者さんもきっとたくさんいるはずです。今後もまた機会があればぜひコンテスト開催を続けて、さらに多くの人に応募してもらえたらうれしいです。そして、コンテストをきっかけに、微生物に興味を持つ人ももっと増えればいいな、と思っています」

今後もぜひ微生物アートコンテストを開催して、微生物の新たな魅力に気づく人が増えれば私たちリケラボ編集部もうれしく思います!

(本記事は「リケラボ」掲載分を編集し転載したものです。オリジナル記事はこちら

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