Rikejoスペシャル・リポート!

スマホのアプリは毎日、いつでも使っているけど、それを「作る」ことって考えたことありますか? 今回は、女の子がプログラミングを学ぶことを応援している、TECH GIRLSの田中沙弥果さんが登場! 女性プログラマーとして活躍する田中さんたちが、女子とITの未来を語り合ったイベントの模様を特別リポートしてくれます。
イベントでは、女子高生2人組が4ヵ月で作り上げた「学生にうれしい」最新アプリも報告されました! みなさんも、プログラミングの世界に挑戦してみては?
それでは、田中さん、よろしくお願いします!

10月4日(木)19時〜21時、TECH GIRLS主催「女子にプログラミングを広めるために」が、G's ACADEMY YOUTH CAMPを運営する東京・表参道のエンジニア養成学校G's ACADEMY TOKYOで開催されました。

このイベントの目的は、ジェンダーギャップが世界的にも著しいコンピュータサイエンス領域で、どのようにしてプログラミングを女の子に広げるかを、メディア、事業展開、女子高生のそれぞれの立場から知見と経験を共有することです。

当日は、まず主催TECH GIRLS代表の私、田中沙弥果より、世界各国の取り組みと日本の取り組みの講演を行いました。

そしてパネルディスカッションでは、小中高の学校でのプログラミング教育の取り組みを取材し、ご自身も小学校のお子様がいる保護者でもある教育ITライターの神谷加代氏、Life is Tech ! マネージャーで、女子中高生のためのITワークショップ「Code Girls」の立ち上げから企画・運営に携わっている西村諭美氏、さらにTechnovationで睡眠課題を解決するアプリをチームで開発した、コード担当の東京工業大学付属科学技術高校3年のRemi氏、ビジネス担当の小田原高校3年の大和祐菜氏が登壇し、様々な経験の上での知見を共有しました。

【講演】13歳〜17歳の間にガクッとコンピュータ・サイエンスの興味がなくなる

田中沙弥果Technovation日本支部代表

NPO法人みんなのコードで全国10都市、合計1000人以上動員の文部科学省後援事業先生向けのプログラミング教育の研修会や全国15都市の教育委員会と協力する通期研修会のPM(プロジェクト・マネージャー)。その他先生向けのWebメディア立ち上げ従事。最近はファンドレイジングの立ち上げと採用という新しい仕事に従事。
また、数年前からテクノロジー×女子のエンパワメントの組織の立ち上げや女子中高生向けの進路選択×プログラミング体験イベントを実施。2018年12月よりサンフランシスコ発の女子中高生×スタートアップで世界一大きな大会のプロジェクトであるTechnovation Challegeを日本で始動。4ヵ月にわたり3チームのビジネス創出〜アプリ作成〜ピッチ支援というアクセラレータのPMに従事。
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Technovationとは:
全世界の女子中高生が参加するアプリコンテスト。世界の10〜18歳までの女の子たちを対象に、これまで78カ国以上、1万5000人以上の女の子たちが参加。「中学生の部」と「高校生の部」があり、決勝大会に進めると夏にアメリカ・シリコンバレーで開催される決勝大会に招待。優勝すると、それぞれの部門チームに起業資金として1万ドル(約120万円)もの賞金が贈られる。

私はNPO法人みんなのコードで、2020年に小学校でのプログラミング教育が必修化されることに備えて、先生向けのプログラミング教育の研修やプログラミング教材開発を行い、普及活動をしています。
また1年に数回、子ども向けにワークショップをするので参加したり、学校でのプログラミング教育の見学に行っています。そうした現場での経験では、小学校の段階ではプログラミング教育に対する興味関心には、男女の性差はないなというのが、率直な感想でした。

ところが、中高生向けのプログラミング系のイベントにいくと、参加者はたいてい、男子9割、女子1割程度。これってどういうこと!?と思い、調べてみました。

日本の正確なデータが見当たらなかったので、アメリカの女子中高生向けにプログラミング・キャンプなどを提供しているNPOのgirls who codeが発表しているデータを持ってきました。

この図は、縦軸が「女子学生でコンピュータ・サイエンスに興味がある人」のパーセンテージです。

6歳〜12歳の間は66%なんですが、13歳〜17歳の間に、約半分が興味を失ってしまうんですね。

これはなぜなのか、よくよく過去を振り返って考えてみると、学校で「情報」を担当している先生って、だいたい男性で、女子にとって「こういうふうになりたい!」というロールモデルからは程遠かったように思います。

最近、みんなのコードでは中高でのプログラミング教育についても考えているんですが、中学校では3年間で10時間しかプログラミングをする時間がありません。これでは、なかなかプログラミングに興味を持ったり、ロールモデルを見つけたりする時間は取れませんよね。

ですから、学校の枠組みの外部にある民間企業が、この「コンピュータ・サイエンスへの興味を失ってしまう」13〜17歳の期間に、「プログラミング=楽しい」と思える機会をつくってあげることが大事ではないかと思っています。

【パネルディスカッション】いよいよ女子高生プログラマー2人組が登場!

プログラミングはじめるキッカケは「友達に誘われたから」「ピザ食べたかったから」「オフィス行ってみたいから」!

【登壇者】

神谷加代/教育ITライター
「教育×IT」をテーマに教育分野におけるIT活用やプログラミング教育、EdTech関連の話題を多数取材。著書に『子どもにプログラミングを学ばせるべき6つの理由「21世紀型スキル」で社会を生き抜く』(共著、インプレス)、『マインクラフトで身につく5つの力』(共著、学研プラス)など。また、2018年10月19日販売予定の新刊『EdTechが変える教育の未来』に編集協力で関わる。


西村諭美/Life is Tech!マネージャー
大学在学中よりインターンとしてライフイズテックに携わる。大学卒業後、ライフイズテックに携わりつつ2年間品川女学院にて教鞭を執る。
ライフイズテックではIT・プログラミングの機会を創出すべく、キャンプやイベントの企画・運営に従事。2014年からは女子中学生・女子高生向けのIT・プログラミング講座「Code Girls」の企画・運営にも携わり、800人以上の女子中高生にITの楽しさを伝えている。


Remi Higuchi・大和祐菜/高校3年生
(写真左)東京工業大学付属科学技術高校3年。ニューヨーク科学アカデミー会員で、英語と科学技術を勉強中。趣味は洋楽と電子工作。2018年度、世界150ヵ国、1万5000人が参加した、女子中高生向けスタートアップ・プロジェクトであるTechnovation Challengeに日本初チームとして参加。チーム内ではコードを担当。
(写真右)小田原高校3年。自校の生徒を紹介するメディア「カナガワノハテ」運営中。陸上競技と甘いものがなくなったら生きていけない。Remiちゃん同様、Technovation Challengeに同じチームで参加。チーム内ではビジネス面を担当。

※彼女たちのピッチビデオはこちら→https://www.youtube.com/watch?v=Pqi7WcW6HVE&feature=youtu.be


モデレータ:畑紗羅/NPO法人みんなのコード 法人担当
2018年に「NPO法人みんなのコード」に就職。
「全ての子どもがプログラミングを楽しむ国にする」とのミッションのもと、全国各地でのプログラミングワークショップ実施やメンター育成を行う傍ら、日本だけでなく深センのプログラミング教材の研究を楽しんでいる。

そもそもプログラミングに興味をもったキッカケって?

Remiちゃん:中学生のときにCode Girlsに参加したのがキッカケで、はじめて時計のアプリをつくった達成感でプログラミングを好きになりました。

Yunaちゃん:私はもともと、公立の高校で文系なので、それほど興味はなかったんです。でも、好奇心だけは旺盛なのでCode Girlsに参加したり、Remiちゃんに誘われてTECH GIRLS主催のTECH GIRLS EVENTにランチのピザに惹かれて参加したりして(笑)、それでTechnovationに参加しました。食べ物に惹かれていったり、Remiちゃんが誘ってくれたから行ったんです。

西村さん:Code Girlsを運営するときに意識していることは、1.だれとやるか、2.だれが教えるのか、3. どこでやるかの3点です。1に関してはCode Girlsを女性限定にすることで、参加ハードルを下げることを意識しています。ITやプログラミングに興味がある子は学校でも男子が多く、参加してみようと思っても、「友達できなかったらどうしよう」など不安がありますし、女の子は友達を誘って参加するケースが多いので、そういった場合にも誘いやすい「女子限定」にすることで安心感を与えられます。Web等でも写真を多めに、活動の様子が分かるようにしているのは、そういった最初の不安を取り除けたらと思っているからです。2に関しては、身近なロールモデルとして感じてもらえるよう、ITを教える大学生も女子大生にしています。情報系の学部で学んでいる人はもちろん、文系でもバリバリコードを書いている人から教わることで、2〜3年後の自分のイメージをふくらませることができます。実際にイメージが変わった、情報系が視野に入った、などと言ってくれる子もいます。3の場所に関しては、女子中高生が知っている企業や、普段使っているサービスを提供している企業で開催できるよう取り組んでいます。ITやプログラミングには興味があまりない子でも、あのオフィスに行ってみたい!作っている人をみてみたい!と思ってもらえたら、はじめるきっかけは何でもよいと思っています。今までLife is Tech ! にのべ36,000人以上に参加いただいていますが、おおよそ4割は女性です。

いい大学=いい企業=成功という人生観がガラリと変わった

二人が作ったアプリ「Neru Neru」。とにかく忙しい女子高生、睡眠時間をちゃんと取れないと、勉強も部活もうまく行かない! そんな課題を解決するために作られている。工夫した点は、「眠っている時間で、どこまで歩いていけたか」を地図で表示する機能!?

二人はどんなアプリを創ったの?
Remi:女子高生の睡眠課題を解決する「Neru Neru」というアプリを作りました。
授業で寝てしまったりする、とにかく眠たいという課題を解決するために(笑)、睡眠のスケジュール管理アプリをswift(=Apple社が開発したプログラミング言語)で作りました。
このアプリでは、人間が1時間に歩く距離がだいたい4キロメートルだということをもとにして、「眠った分の時間で歩いたら、世界をどこまで旅できるか」を地図で表す機能も作っています。デモバージョンでは、私が眠った時間で、ようやく東京から京都の清水寺までつきました(笑)。
早く世界一周ができるようになるといいなと思っています。

Technovationに参加して何が変わったの?
Yunaちゃん:Technovationに参加して人生観が変わりました。4ヵ月間、日本オラクルのメンターの方や、CoderDojo Japanの方のメンタリングをしていただきました。今までいい大学行っていいところ(大企業)に就職することが人生の成功・幸せだと思っていたけど、このプロジェクトでいろんな大人に会って、好きなことをやるために転職したり仕事選んだり、そういう生き方や働き方がいいなと思ったんです。

RemiちゃんとYunaちゃんが考えた、女子がプログラミングをするのに必要なこととは? 気になるイベントの後半は、連続公開の後編につづきます
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10月27日(土)、TECH GIRLS主催のイベントが、大阪でも開催されるそうです!
京都女子大学の学生で、プログラミング教育を小中高校生に教える活動をしている2名も登壇!
お申し込みは下記から>>
https://peatix.com/event/448307/