水産加工食品で知られるマルハニチロの化成バイオ事業部に所属しています。この部署は魚などの海洋生命体から人の体に有効な成分を抽出し、DHA(ドコサヘキサエン酸)やコンドロイチンといった原料を販売するのが主な事業内容です。

例えば、みなさんがよく目にするいろんなメーカーのサプリメントにも、弊社が販売している原料が使われています。

部署内はさまざまな仕事で分かれているのですが、私が担当しているのはクライアントのブランドの健康食品や化粧品を開発し、製造まで行う業務。具体的にはクライアントがDHAのサプリメントを希望しているのに対して、そこにプラスアルファとして、「機能性原料を副素材として配合してみてはどうですか?」といった提案をし、一緒に製品をつくっていきます。

マルハニチロでは化粧品事業にも力を入れており、「SQUINA」というスキンケアブランドの海外向けの製品開発も私が担当しています。ブランドの中心となるのは、「ビューティオイル」というスクワランオイルを使った製品。スクワランは、サメの肝油から抽出され、医療にも使われる安全性の高い原料として知られています。こうした商品も水生生物を知り尽くし、なおかつあらゆるものを最大限に有効活用する弊社ならではの事業だと言えます。

「知ること」で目標が変わっていきました

親族に医療従事者がいたこともあり、学生時代は薬剤師を目指していました。ただ、調剤薬局で実習をしていく中で薬局を訪れる患者さんの多くが高血圧や糖尿病といった生活習慣病に悩まされていることを知りました。そこで、普段の食事がいかに大切かを実感し、同時に薬で病気を治すことよりも、病気を予防しながらよりよい食生活を提案できる仕事に従事したいと思い、食品メーカーへの就職を決めました。

マルハニチロを選んだのは、介護食にも力を入れている点でした。嚥下機能が低下している患者さんは、どうしてもミキサー食に頼らざるを得ないのですが、マルハニチロでは見た目もよく、味も素晴らしい介護食を日々開発しているので、患者さんにとっても食事が楽しいものになる。そこに強い関心を持ったんです。

入社してすぐに現在の化成バイオ事業部に配属になりましたので、介護食に携わったことはありませんでしたが、今はこの仕事に強い誇りを持っています。扱っているのは原料ですので、自分の仕事が実際にどんな方たちに役立っているのかという実感はあまり持てませんが、ブランドオーナー様と信頼関係を築きながら製品をつくっていく作業はとても楽しく、やりがいを感じます。

健康食品やサプリメントだけでなく、もうひとつの担当である化粧品ブランドも世に広めていく。そこを目標にこれからも仕事に励んでいきたいと思っています。

【リケジョブ・オフショット】

旅行とカメラが趣味で、国内外問わず、撮影旅行に行きます。この写真はマレーシアのランカウイ島を訪れたときに撮影した夕日。ランカウイ島は自然が豊かで、海でのんびりするだけで癒やされました。

(『Rikejo』2017年9月号より。一部情報は取材時のものです)