私は今、アメリカのクラウドサービス『ServiceNow』を日本のお客様向けにカスタマイズして、使っていただくという仕事をしています。このサービスは、ITサービス管理を中心とする企業向けのシステムです。

例えば社内には販売管理、会計管理、業績管理……いろんなシステムが構築されていますが、システムごとに問い合わせ窓口があったり、管理の方法がバラバラだったりして、困っているというケースがあります。でも、社内のさまざまなシステムを『ServiceNow』で一元管理できれば、企業にとっては業務を効率化できますし、利用者にとってもどこに問い合わせればいいのかという手間が省け、両方にメリットがあります。

私たちの仕事は、「こういうことをやりたいけど、最善の策はないかな……」と困っているお客様に対して、業務を把握し、課題解決のためのシステムを提案し、活用していただくことです。SEは、パソコンの前で作業していればいいのではなく、お客様の要望をきちんと聞いて、それをシステムという形にして、使っていただくことが仕事です。

「きっと何かすごいことができるはず」

コンピューターに興味を持ったのは高校生のころです。当時はまだ家庭にパソコンがさほど普及していなかった時代でしたが、世の中でコンピューターがよく話題になっていて、「なんかカッコよさそうだな」と(笑)。単なるミーハー心で興味がありましたが、そのころには大学は情報系に進もうと決めていました。

実際に大学で情報科学部に入り、自分のパソコンを手に入れて、ITの基本的な仕組みやプログラミング、論理的思考などを学びました。4年生のときに入ったゼミでは、コンピューターやプログラムに知識を蓄えていくことで、質問に対する応答がレベルアップしていくという人工知能に関する研究をしていました。いろいろ学んでいるうちに、「ITを応用すれば、きっと何かすごいものができるはず」と思い、この業界を目指しました。

今は小さな子どもがいて、子育てと仕事を両立させるというのが一番の課題です。この業界は結構忙しいのですが、早朝に家事や仕事、勉強をする"朝活"をしたりして、何とか自分の時間をつくり、やりくりしています。

ただ、どうしても子どもを保育園に迎えに行かなければならない日もあります。状況によっては部署の先輩や後輩が仕事を代わって助けてくれるのですが、これからは残業がない組織にして、全員がプライベートと仕事をより充実できる環境にしていきたいという思いがあります。会社の皆さんの協力を得て、そういう方向に少しずつ進めていきたいです。そのためにも将来的にはマネージメントの仕事にも関わりたいと思っています。

【リケジョブ・オフショット】

子どもができてから、近所に住むワーキングマザーの友だちが増えました。その中には理系の方がいます。たまにマンションのパーティルームに集り、みんなで会って話すとエネルギーをもらえますし、息抜きにもなります。

(『Rikejo』2016年9月号より。情報は取材時のものです)