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7月22日(土)、講談社で、「夏のリコチャレ2017」のプログラムのひとつ、最先端科学技術を知って楽しむイベントが開催されました。ロボット作りの研究現場で働く女性研究者のトークあり、電子タグセンサーを使ったオリジナルアイデア日用品づくりあり。女子たちのユニークで素敵なワガママに満ちたイベントの様子をご紹介します!
 
主催:公益財団法人 日立財団/協力:講談社 Rikejo
 
 

【第1部】 キーノートスピーチ&パネルトーク

 

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お天気に恵まれたこの日。午後2時の開場と同時に参加者が続々集合。
 
 
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会場では、コミュニケーションロボットの「鉄腕アトム」が皆をお出迎え。さっそく話しかける高校生も。
 
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イベントのはじめに「鉄腕アトム」が自己紹介。これは雑誌『週刊 鉄腕アトムを作ろう!』とともに送られてくるパーツで作れるコミュニケーションロボット。「人の顔を覚えるのが得意で、歌や踊りもできるんですよ」と講談社の奈良原さんの紹介を受け、アトムが『恋するフォーチュンクッキー』を披露してくれました。
 
 
 

ロボット作りの研究者、浅野優さんが登壇!

 

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日立製作所でヒューマノイドロボット「EMIEW(エミュー)3」の開発に携わる浅野優さんが登場してイベントが幕開けです! 「中高生の頃から数学や化学が好きでした」という浅野さんは“言語処理”の研究者としてロボット開発の最前線で活躍中。
 
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「はじめは“薬学部”志望だったのですが大学では“情報学”を専攻しました。情報学にもハードウェア、ミドルウェア、ソフトウェアの分野があり…」と、高校生時代から現在まで、どこで何を学び、何を選んできたか、具体的に語ってくれた浅野さん。参加した中高生はもちろん、サポートスタッフの大学生の先輩リケジョたちにとっても貴重な話ばかり。
 
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開発中の「EMIEW(エミュー)」は現在3代目。困って立ち止まっている人に自分から声をかけたり、人の歩調に合わせて動きながら道案内をしたり。転んでも1人で立ち上がれるなど、これまでにない能動性と機動性をもっているそうです。
 
「しかも、人と会話しながら学んでいく高い言語機能を備えているので、一度教えてもらうとエミュー君が回答できるようになります。この“言語処理”の部分が私の担当です。実用化に向けて、空港や駅での実証実験を進めています。」
 
 

研究者・浅野さん×司会者・矢部さんのパネルトーク

 

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第1部の後半は、物理学科卒の元リケジョで司会進行役の矢部さん×浅野さんの対談です。
 
矢部さん 「“言語処理”というのは、データがたくさんあってその中から最適なものを選んでアウトプットする、というイメージであっていますか?」
 
浅野さん 「はい。人とロボットの会話は、
 

人の声(音波)を“音声処理”でテキスト化する

テキスト化された内容を“言語処理”して答えを出す

答えを“音声処理”してロボットが声に出して返答


 
という仕組みです。ロボットの場合は音声でアウトプットしますが、何でアウトプットするかは自由。同じ言語処理システムを使ってニーズに合わせて様々なインターフェースを選べます」
 
矢部さん 「浅野さんがやってみたいワガママは何ですか?」
 
浅野さん 「私はロボットで皆をハッピーにしたい! 日本は昔からロボットアニメも充実していて、そこにはたくさんの夢が描かれています。まだまだできていないこともいっぱいありますが、叶えていきたいですね。学生時代は答えのある問題に取り組むことがほとんどでしたが、世の中は答えのない問題ばかり。それを研究する仕事はとってもワクワクして楽しいですよ!
 
 
 

【第2部】 あったらいいなをカタチに MESHワークショップ

 

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第2部は、皆の「あったらいいな」をカタチにするワークショップ。電子タグ「MESH(メッシュ)」の使い方、プログラミングのレクチャーからスタートです。
 
世の中にあるものは、誰かの『あったらいいな!』でできているんですよ」と、NPO法人CANVAS(キャンバス)の窪村さん。
 
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用意されたのは、「動きタグ/明るさタグ/人感タグ/温度・湿度タグ/LEDタグ/ボタンタグ/GPIO(無線化など拡張機能)タグ」の7つの電子タグセンサー。
 
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プログラミング用アプリケーションで、使いたいタグを選んで「どうすると、どういう反応をするか」を設定していきます。
 
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例えば、「動きタグ」に「動きを察知すると鈴の音が鳴る」ようプログラミングすると…。振ると鈴の音が鳴りました!
 
 

「あったらいいな」を考えて、カタチにしよう!

 
電子タグの使い方がわかったら、2~3人一組になり、「あったらいいな」をカタチにするアイデアあふれる日用品づくりに挑戦。
 

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どんなワガママを実現したいかをクリアにするために、いつ、どんな時に、何があったらいいのか、アイデアを書き出していきます。
 
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たくさん用意された日用品×7つの電子タグ。どう組み合わせる?
 
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考えて、試して、失敗して、改良して…試行錯誤を重ねる参加者たち。4つのタグを組み合わせた複雑なプログラミングに挑むグループも現れました。
 
 

完成したアイデア日用品を説明しよう!見て回ろう!

 

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完成お披露目会では、自分たちのアイデアを説明したり、気になるグループのアイテムを見に行ったり、皆が自由に行き交った場内は大にぎわいに。
 
こちらは、「温度・湿度タグ」をつけて、雨が降りそうになったら教えてくれる洗濯ハンガー。暮らしに役立つスグレモノです!
 
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複数のタグを組み合わせて、動きや明るさを察知していろんな音などを楽しめるエンターテインメント性にあふれたうちわを開発したグループも。夏っぽいですね!
 
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なんとこちらは「居眠り防止マシン」。「人感タグ」とモーターを組み合わせることで、万が一授業中に睡魔に襲われても人感タグで先生の動きを察知し、先生がくる前にモーターが回ってゴムをはじいてパチンと起こしてくれる仕組み。とってもユニーク!
 
 
 

【第3部】 Rikejoカフェ交流会

 

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第3部は、お菓子を食べながら大学生の先輩リケジョや浅野さんたちとおしゃべりを楽しむ交流会。
 

「文系か理系か、すっごく迷ってて…」
「なんで理系にしたんですか?」
「好きなことと、できることって違いますよね?」
「大学の試験ってどんなですか?」

 
など、あちらこちらで本音トークが交わされました。悩みや疑問、解決されたかな?
 

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イベントを締めくくったのは浅野さん。
 
「今日ワークショップでやった 【あったらいいなを考える・課題を見つける→話し合う→作る→発表する】 というのは、まさに開発の仕事と同じ。皆さんのたくさんのアイデアに、未来を感じました!」
 
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帰りがけに、参加者全員にオリジナル「デニムトート」などのお土産も配られました♪
 
 
【参加者の声】

「最新のロボット研究の話を聞けて、とてもためになった」
「理系は理系でもたくさん分かれていて、色々な可能性があることに気がつけた」
「触れ合って何かを作ったり、他の人の意見を聞いたりできてよかった」
「誰かが作った“あったらいいな”を見て、コレ欲しいなと思った」
「何か欲しいものがあると、アプリとかに頼りがちだったけれど、これからは自分で作ってみたいと思った」
「先輩たちの話を聞けてすごく参考になりました」

 
なお、『未来をつくるリケジョたち!これからのイノベーションに女子のワガママを。』の模様は、Rikejoマガジンvol.47(2017年9月発行)にも掲載予定です。ゲストインタビューも掲載されていますので、ぜひ、そちらもチェックしてくださいね!
 
 

文=峯田亜季 写真=神谷美寛
 
提供/日立財団

 

●日立財団とは…
科学技術の振興を原点に50年前に設立された日立グループの企業財団。現在は「学術・科学技術の振興」「人づくり」「地域コミュニティ支援」の3つの分野でさまざまな活動を展開しています。
注力している活動に「理工系人財育成支援事業」があり、その一環として日立グループの多彩な科学技術を軸にリケジョを応援するイベントなどを企画・開催しています。
日立財団ウェブサイト:http://www.hitachi-zaidan.org/
 
日立財団の理工系女子応援サイト「わたしのあした」:http://www.hitachi-zaidan.org/my-tomorrow/index.html
 
●リコチャレとは…
内閣府男女共同参画局が中心になり、理工系分野に興味がある女子学生の進路選択チャレンジを応援する取り組みです。
http://www.gender.go.jp/c-challenge/