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Q:現在のお仕事を教えて下さい。

ボールペンの中芯の研究開発に携わっています。
具体的には、書きやすくするためにペン先の形状を考えたり、
実際に目指している書き味を実現できるかどうかの試験をしたりしています。
昨年の秋には、入社したときから開発に関わっていた
多色ボールペン「リポータースマート0.5」が発売されました。
入社時はすでに開発の大詰めの段階でしたが、
少しだけでも関わることができた商品が世の中に出るというのは、
すごくうれしかったですね。

Q:理系に進もうと思ったのはいつですか?

私の学校では高2で文理選択があるので、
高校1年生のときに「どっちにしようかな?」と考えました。
そのときに「数学は得意だし、理科も物理は苦手だけど基本的には好き。
英語はダメなので、まあ文系はないかな」と消去法で理系に進みました(笑)。
その頃は大学の学部については何も考えていませんでした。
「細かいことはあとで考えよう」と思っていたら、
あっという間に受験が迫ってきました。
当時はロボットに興味があって、進学雑誌などでロボットのことを学べる学科を探していました。
すると電気通信大学では授業では他大同様に1、2年生はほぼ座学ですが、
大学公認のサークルに所属することで入学直後から、
すぐにロボット製作に初心者でも挑んでいることを知りました。
「1年生から実践的に学べる」ということは
電気通信大学に進学する大きな決め手となりました。

Q:大学に入る前には、どんな受験勉強をしていましたか?

一日中勉強だけをするのはよくないと思います。
受験生は、朝起きて勉強して、学校に行って勉強して、
塾に行って勉強して、自宅に帰ってまた勉強する。
それはもったいないと思います。
何事もメリハリが大事です。
私の上司も「たまには残業しないで帰れ」と言ってくれますが、
休日も充実していたほうが仕事もがんばれます。
それと同じで先生も親御さんも勉強しろと言いますが、息抜きに漫画を読んでもいいと思いますよ。
それから数学を勉強しているときは、数字を追うだけなので、音楽を聞いていました。
私は“ながら勉強”じゃないと無理(笑)。
逆に静かなところでは集中できませんでした。
いつも聞いている音楽だったら、曲はあまり気になりません。
耳にはいつも雑音が流れているというイメージです。
カフェやファミレスなどで勉強するのに近いかもしれませんね。

Q:最後に理系に進もうと思っている中高生にアドバイスをお願いします。

やっぱり高校時代は周りの子は文系に行くほうが多いので、
「理系に行くとみんなから外れてしまう」と疎外感を抱いてしまうことがあります。
でも、そういうふうに思わないでほしい。
実際のところ、理系でも文系でもそれほど大差はありません。
たまたま興味を持ったものが違うだけで、
理系でもオシャレな子はいっぱいいるし、文系でも理詰めで考える子もいます。
理系に進むからといって、気負わなくてもいいと思いますよ。
実際、理系に進んだあとに、大学で学んだことにまったく関係ない仕事をしている人もいますし、
理系といえども、大学で論文を書くときには文系の国語や英語は必要になります。
就職活動でもTOEICテストは絶対にやらなければなりませんし。
結局、文理選択や大学の学部で
すべてが決まるわけじゃありません。
そこはわかってほしいです。
(文=川原田剛 写真=井上孝明)