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*藻でつくった油をジェット燃料や軽油に変えるための触媒を開発しています

高校時代に地球温暖化の話を聞いたのがきっかけで環境問題に興味を持ち、
「科学の力で地球の環境を壊したのなら
科学の力で何とかしたい」
と理系に進みました。
大学時代は水から水素をつくる光触媒の研究をしていました。
水素はもともと興味があった燃料電池の原料に使えると聞いていたからです。
当時は実験につぐ実験の日々でしたが、実験で何かを生み出す作業が根っから好きでした。

*新しいテーマの探索ができることが醍醐味

2007年に入社し、2年前からバイオマスの研究開発にかかわっています。
藻からつくった油をジェット燃料や軽油に変えるための触媒を開発しているのです。
触媒とは反応を促進させるための化合物のこと。
実用化はまだ先の話ですが、
新しいテーマの探索ができるところが、
この研究の醍醐味でもあり大変なところです。
自分が担当するテーマは基本的にひとりで実験します。
予想どおりの結果が出たときは「実用化に少し近づけたかな」とうれしく思いますが、
決められた期限までに思いどおりの結果が出ないときは国内外の文献を調べたり、
チームメンバーのアドバイスを受けたりと試行錯誤します。
 
 

*大学時代に積み重ねてきたものが役立っています

入社後は、貴重な油成分の有効活用を目指し、
油を化学原料に変えるための触媒を開発していました。
今の仕事でもその技術を応用できる部分はありますが、
藻でつくる油は生物由来のものなので、
石油精製で培った技術だけではわからない部分もあります。
触媒というくくりでは今も前の仕事も大学時代の研究も同じですが、
中身は別物なんですね。
けれども、地道に実験を進めるという自分流のスタイルは
大学時代に積み重ねてきたことが役立っています。
何年先になるかわかりませんが、最終的には
「君に任せれば新しい何かを見つけてくれるよね」
と頼られる存在になって、エネルギーに関する新しい技術を見つけたいです。
(文=十倉和美 写真=井上孝明)